コスプレ造形における塗装作業は、衣装や小道具をよりリアルに、綺麗に仕上げるための大切な工程です。しかし、塗料選びや塗り方、メンテナンスなど、初めての方には悩むことも多いでしょう。
この記事では、初心者の方でも安心して取り組めるよう、塗料の選び方から実際の塗装テクニック、保管方法までを解説します。読み終わった後、塗装の楽しさに興味を持ったり、実際に造形を始めるきっかけになればこの上なく嬉しいです。
僕がこの記事を書こうと思ったきっかけは、造形した小道具を持っていくたびに「どうやって作ったの?」と聞かれることが多かったからです。ただ、実際には考えながら買い足したり、使わなかったりと試行錯誤の連続で、一言では説明できません。だからこそこの記事を通して、造形を楽しむ人が少しでも自分の理想の塗料を見つけ、思い描いた通りの仕上がりに近づけるようになればいいなと思っています。
造形に適した塗料の選び方
塗料を選ぶ際は、実際に店舗でパッケージを確認することをおすすめします。使用方法や注意点、処分方法などが細かく書かれているため、塗料選びでの失敗を減らせます。サンプルや直感も大切な判断材料です。
初めての場合、塗料の使い心地が分からないことも多いですが、まずはいろいろ試してみることが重要です。失敗を恐れずに挑戦するうちに、お気に入りの塗料が見つかるはず。どうしても迷うときは、SNSやYouTubeで経験豊富なコスプレイヤーや造形師の意見を参考にしてみましょう。
塗料売り場を見渡すと、メーカーごとに無数の種類が並んでいて迷うものです。用途や色味を見ても、パッケージや色見本だけでは分からないことが多い。一本の量が多く、値段もそこそこするため、厳選しないと無限に買うことになります。まずは自分が作ろうとしている物や使う素材を理解し、それに合った特徴をもつ塗料を選ぶのが最善策です。
塗料によって水への強さや使い心地が異なります。どうしても迷う場合は、汎用性が高く応用が利く「金・銀・白・黒」などの色から試してみるのがおすすめです。また、色を混ぜるときは必ず同じ種類の塗料で行いましょう。化学成分が異なると反応を起こすことがあるため、安易な混色は危険です。購入前には必ず説明書きを読んで、安全第一で使いましょう。
塗料の塗り方のテクニック
塗装の基本として、下地を塗ることで仕上がりが美しくなり、塗料の定着も良くなります。下地不要の素材や塗料もあるので、素材ごとの違いを確認して選ぶのも楽しみの一つです。
実際に塗る前には、必ず試し塗りをするのがおすすめです。塗る素材の切れ端を使って、色の発色や仕上がりを確認しましょう。私はいつもCosボードの切れ端で試しています。知っている塗料でも、色を混ぜた後やベースの色によって発色が変わることがあるため、全体に塗る前に一度チェックしています。
水性塗料は特に、乾いた後でも手汗程度の湿気で剥がれることがあります。グロスバーニッシュなどのニスでコーティングすることで、耐久性と見た目の美しさが格段に上がります。ニスにもツヤ出しタイプ・マットタイプ・木目を際立たせるタイプなどがあり、用途に応じて試してみてください。
塗料ごとのおすすめのニス
私のおすすめはグロスバーニッシュです。仕上がりが滑らかで、ほとんどの塗料と相性が良く、使い勝手も抜群です。グロス系の塗料やニスは余りがちですが、きちんと保管すれば再利用できます。
下地やトップコートはリキテックス製を愛用中で、私はいつも東急ハンズで品定めしています。
造形物はどうしても経年劣化します。塗料が剥がれたり、インクが薄くなったりするのは宿命ですが、せっかく頑張って作った作品を長く綺麗に保つためには、使った塗料を記録しておくのがおすすめです。塗布時は臭いが強いものも多いため、換気をしっかり行い、作業後の掃除や手洗いも忘れずに。
塗料を塗る道具について
専用の筆やハケがあれば理想的ですが、値段も高く、後片付けも大変です。私自身、筆の手入れを怠って毛先が固まってしまうことがよくあります。
ものぐさな自分がたどり着いた答えは、「Cosボードの切れ端を使う」ことでした。造形中に出るウレタン素材の小さな破片を取っておくと、広い範囲を塗るときの使い捨て道具としてとても便利です。
特に厚塗りをしたいとき、一度に広範囲を塗れるため効率的です。筆洗いや片付けの手間も省け、作業後のストレスも減ります。
塗装用スプレーについて
スプレー塗料は塗装の代名詞といってもいいほど身近ですが、造形で使う際はしっかりとした準備と注意が必要です。換気と汚れ防止に細心の注意を払いましょう。
スプレーは広がりやすく、意図しない場所に飛び散るため、周囲をしっかりカバーしてから使用します。乾燥中も風や振動でトラブルが起きやすいので慎重に。均一に塗るのが難しいため、2~3回に分けて重ね塗りするとムラがなく綺麗に仕上がります。
スプレーは手軽なようでいて、実は廃棄まで含めて難易度が高い塗料です。僕も昔はよく使っていましたが、最近は筆塗りの方が好みです。安全第一を忘れずに。
塗料の保管方法やメンテナンス
塗料の保管も大切な工程の一つです。ほとんどの塗料は長期間使用できますが、金属色やラメ入りは分離・劣化しやすいため、使用前によく混ぜてください。
使い終わったら蓋をしっかり閉め、スプレー塗料はガスを完全に抜いてから捨てるなど、各自治体のルールに従って安全に処理しましょう。
私は普段、塗料をカラーボックスの専用棚に収納しています。金・銀・ラメ入りなど劣化しやすいものは分けておくと安心です。容器を倒す心配が減り、残量の把握もしやすくなります。
何より重要なのは、きちんと蓋を閉めること。乾いたり、出口が固まってしまうと再利用が難しくなります。汚さず、無駄にせず、買った分の塗料を最大限活用しましょう。
まとめ:塗装は“色を操る魔法”
塗装は、コスプレ造形をよりリアルで魅力的に仕上げるための重要なステップです。最初はうまくいかないこともあるかもしれませんが、経験を重ねるほど自分の理想に近い仕上がりに近づいていきます。
ぜひ、今回紹介したポイントを参考に、塗装のプロセスそのものを楽しんでみてください。何度も挑戦するうちに、きっと自分だけの塗装スタイルが見えてくるはずです。