読了目安:約7〜8分 テーマ:塗装の失敗を減らす「待つ」と「見る」という考え方
はじめに
塗料を塗った瞬間は、完成したような気持ちになる。色が乗った表面を見ると、触って確かめたくなる。
ボクは最初、その誘惑に何度も負けた。指紋が残り、シワが刻まれ、塗膜が滑っていった。そのたびに「なんでうまくいかないんだろう」と道具を疑い、塗料を買い替えたりもした。
でも、失敗の原因は塗料じゃなく、乾燥と素材の理解が足りなかっただけだと気づいたのはだいぶ後だった。
この記事では、ボクが失敗して学んだ「待つこと」と「素材を見ること」が、どう仕上がりを変えたかを整理していく。
乾燥を待てずに台無しにした話
表面が乾いただけなのに触ってしまう
塗りたての艶は自信になる。でも、塗料は中も乾かないと動いてしまう。
表面が乾いたように見える瞬間こそ、いちばん触ってはいけない場面だった。その誘惑に負けて、指紋がくっきり残り、端が寄れていったことは一度や二度ではない。
触りたい気持ちに負けない仕組みを作った
乾かす時間が苦痛だったとき、別の作業を用意して逃げ場にした。
塗装は塗るだけじゃなく、「待つ時間も作業」だと受け入れた瞬間、失敗は少なくなった。
素材を無視して痛い目を見た話
発泡スチロールが溶けたのは、塗料のせいじゃなかった
ラッカースプレーを吹いた瞬間、発泡スチロールが崩れ始めた。その光景は怖かったけれど、問題は製品じゃなく素材の側だった。
塗装前に、素材が何を嫌うかを知らなかったことが原因だと理解した。
剥がれる塗膜と、湿気の怖さ
塗膜が強い塗料でも、プラスチックのように吸収しない素材だと浮いたり剥がれたりする。
乾燥不足や湿気、手汗だけでも塗膜が持ち上がってしまうことがある。これは「塗料の種類」ではなく、「素材の性質」を無視した失敗だった。
▶ 関連:素材によって塗料を選ぶための考え方とコツ
乾燥と素材理解は、同じ根っこだった
急ぐほど遠回りになる
乾燥を待てなかった失敗も、素材理解を疎かにした失敗も、どちらもやり直しになった。
仕上げを急ごうとして、結果的に一番時間を失っていた。塗装は忍耐の作業だと気づいたのは、この繰り返しの先だった。
“素材を見る”ことが半分の成功だった
布かプラスチックかEVAボードか。素材を先に見れば、塗料は自然と絞れるし、塗り方の癖も変わる。
同じ塗料であっても、素材が違えば仕上がりはまるで違うことを受け入れた瞬間、失敗は減っていった。
やり方より、考え方が変わった
2〜3回塗る、完全乾燥まで触らない、素材が嫌うことを知る。今なら当たり前のことだけど、最初からできていたわけじゃない。
これらは「テクニック」というより、塗装に向き合う姿勢だった。一度で仕上げようとしないこと、結果を急がないこと、素材に合わせてやり方を変えること。
乾燥と素材を見るという考え方が身についたとき、塗装は怖い作業じゃなくなった。
▶ この記事の立ち位置:塗装で迷ったときは、まず用途で考える塗装の話へ戻ると整理しやすい。
おわりに
塗料を変えたからうまくいったわけじゃない。「待つこと」と「素材を見る」ことが習慣になったから、仕上がりが変わった。
塗装は塗る作業だけじゃなく、乾燥と観察の作業でもあった。この視点は下地やニスにも続いていくので、よければ次の記事で一緒に深く見ていこう。
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- 造形塗装の微差:成功と失敗の「あっ」を見逃さない視点
Notes
- * water-base paint:水性塗料のこと
- * acrylic gouache:発色が強く不透明なタイプのアクリル絵の具(一般にアクリルガッシュと呼ばれることが多い)
- * textile paint:布に定着性を持つ塗料の総称