読了目安:約6〜7分 テーマ:布に描く塗料の基礎
はじめに
布を塗ろうとしたとき、最初に感じたのは「色が沈んでいく」違和感だった。 紙でもプラスチックでもない、吸い込むような感覚。 その戸惑いが、ボクと布用塗料との付き合いの出発点だった。 この記事では、布用塗料の魅力と、使うときに知っておきたい注意点をまとめる。
布用塗料の魅力
混色しやすい:作りたい色が作れる
布用塗料は、他の塗料よりも混色の反応が素直だと感じている。 既存の色が足りないときや、微妙な色の差を作りたいときに役立つ。 布の上で色が育っていくような感覚があって、色を作る楽しさを教えてくれた。
布の動きに耐えてくれる
布は伸びたり折れたり、形が変わり続ける素材だ。 布用塗料はその動きに寄り添ってくれるので、塗った部分が割れたり剥がれにくい。 背中に塗ったマークや、小物の布パーツでも、動いても色が残ってくれる安心があった。
表現の幅が広がる
塗料で布に模様を描くことで、生地を選ぶだけでは出せなかった表情が作れる。 既製の布にない色味やデザインを布の上で調整できるのは、布塗料の大きな魅力だと思う。
▶ 布用塗料の混色テクニックはこちら(予定)
でも、万能ではない
布の風合いが変わることがある
柔らかい布ほど、塗料が乗ると硬くなりやすい。 お気に入りの生地が思ったよりパリっとしてしまったときは、ショックもあった。 布の質感が変わりやすいことは、この塗料の注意点のひとつだ。
塗る面積や布質で変化が大きい
広範囲に塗ると風合いが強く変化するので、最初は部分塗布のほうが安心だと思っている。 一方で、レザーや厚手の布は相性がよく、色と質感のバランスが取りやすい印象がある。 布の種類によって性格が変わるところも、布塗料の特徴だ。
▶ 布の風合いを守る塗り方はこちら(予定)
ボクが感じている使いどころ
塗るより“描く”感覚が近い
布塗料は塗るというより、描く感覚に近い気がしている。 微妙なニュアンスを足したり、既製品の布にもうひと手間加える場面で活きる塗料だと思う。
使う場所を選ぶことが価値を生む
広い面を塗るのではなく、アクセントや模様など、効果が出やすい場面を探すのがコツだと感じている。 楽しみながら慎重に使う、そんな距離感が付き合いやすいと思う。
▶ 布塗料が向くケースと向かないケースの判断基準はこちら(予定)
おわりに
布用塗料は、布を自由に変えられる反面、布そのものの性質も変えてしまう可能性がある。 その二面性を知るほど、使う場所を選ぶ理由が強くなっていった。 混色の自由と柔軟な定着力は大きな魅力だけど、それを活かすには少し慎重さが必要だと思う。 次の記事では、風合いが変わってしまう理由や、塗るときの工夫について整理していく。
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Notes
- * textile paint:布地に定着し伸縮に耐える塗料の総称
- * dilution:布面上で塗料を少量ずつ薄める混色方法(予定解説)