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本記事は筆者 Yosure の創作経験と考え方に基づく記録です。 一般的なハウツーではなく、創作過程の共有を目的としています。

水性塗料を味方にするための実践知

造形

読了目安:約7〜8分 テーマ:水性塗料(Nuro系)の特徴と失敗回避

はじめに

ボクが造形を始めた頃、いちばん頼っていたのが水性塗料だった。 ホームセンターで手に入りやすいし、広い面をざっくり塗れる安心感があったからだ。 だけど、ただ塗るだけでは失敗も多かった。 乾く前に触って跡が残ったり、厚塗りでシワになったりと、思い通りにいかないことばかりだった。 この記事では、水性塗料がどんな性質を持っていて、どこでつまずきやすいか、 そして失敗しても立て直せる実践知をまとめてみる。

水性塗料を理解するところから始めた

広い面を塗れることが最大の武器

水性塗料の強みは、広い面が塗りやすいことだった。 鎧のパーツや背景になる大きな造形を塗ったとき、塗料の伸びがそのまま安心につながった。 あるイベント用の装飾ギアを塗ったとき、塗料が面を覆ってくれる心強さを実感したのを覚えている。

▶ 詳しく知りたい人へ:水性塗料(Nuro系)の基礎知識はこちら

一回で仕上げる塗料ではない

水性塗料は薄く重ねて膜にしていく塗料だと気づいたのは、かなり後になってからだった。 最初は一回で完成させようとして、厚塗りしすぎて失敗していた。 今では「一度目は素材の表面を覆う下塗り」と割り切っている。 この感覚ができると、水性塗料はぐっと扱いやすくなる。

素材と相性もある

ボクが水性塗料で塗ってきた素材は、EVAボード、発泡スチロール、木材、プラスチックなど。 特にEVAは色が乗りやすく、厚塗りが膜になって面を整えてくれる。 一方でプラスチックのようにツルツルな素材は、乾燥不足だと剥がれやすかった。 素材によって塗料の乗り方が違うと知ったことも、水性塗料の理解を深めた理由だ。

失敗の内容と、その救い方

厚塗り→シワは水で整えられる

厚塗りすると、塗料が皮膜を作ってシワのようになる。 そのとき、水を少し使って柔らかくしながら伸ばすと、面が整っていく。 刷毛よりも、造形中に出た素材の切れ端で撫でるほうが綺麗に馴染むこともある。 塗料と素材の境目を扱う“手触り”を覚えていくのが、水性塗料の楽しさでもある。

乾燥前に触るのが一番の事故

焦って触って跡を残す失敗は、何度もやった。 乾いていない膜は柔らかく、どんなに綺麗に塗っても触った瞬間に台無しになる。 跡がついたら、すぐに触らず乾燥させる。 完全に乾いてから薄く上塗りすると、ほとんど目立たなくなる。

乾燥を“作業”として考える

塗装の中で一番難しいのは「乾くのを待つこと」だと思っている。 塗った太刀や装飾パーツを眺めていた時間は、落ち着かないけど必要な時間だった。 乾燥はただ待つのではなく、完成に向けた一部なのだと少しずつ理解した。

水性塗料を味方にするために

初心者の味方である理由

多少の失敗を許してくれる柔軟さが、水性塗料の良さだ。 伸びがいいから面を整えやすいし、水で救済できる幅も広い。 大きな面に関しては、ボクはいまだに水性塗料が一番扱いやすいと感じている。

“焦らない”技術が育つ

塗装は塗ることより、待つことのほうが心理的に負担だ。 焦って触り、一歩戻ることは今でもある。 だけど、水性塗料はその失敗を直せる余地がある。 この「焦りとの付き合い方」を塗料が教えてくれたと思っている。

道具選びにもつながっていく

水性塗料を理解すると、下地やニスの重要性も見えてきた。 塗料そのものではなく、塗る順番と素材の仕上げまで含めて考えられるようになって、 ようやく塗装が安定してきた。 この辺りは別の記事でじっくり整理していきたい部分だ。

おわりに

水性塗料は、失敗も多いけれど同時に直せる余地も多い塗料だと思っている。 薄く塗って、しっかり乾かして、また塗る。 その単純な繰り返しの中に、塗装の技術と考え方が育っていく。 次の記事では、下地・筆・乾燥のことも触れながら、 水性塗料が作品を支える理由をさらに掘り下げていこう。


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Notes

  • * water-base paint:水性塗料のこと

Yosure (ヨシュア)

衣装・造形・撮影・編集を一人で完結させる創作系デザイナー。実験ログとして制作の考え方と手順を記録しています。

記載内容はすべて筆者 Yosure の経験則です。 参考にするのは自由ですが、完全な模倣や一挙手一投足の再現は推奨しません。 あなたの創作には、あなたの判断と責任が必要です。